東京から封筒が届いた。「ねぇ、あたしが開けても良いかやぁ?」妻は初めてラブレターをもらった少女のようにはしゃいでいる。「良いさぁ。早く開けてみれやぁ」見慣れない淡い緑色の封筒が私の胸を高鳴らせる。妻は恐る恐る封を切り、入っていたビニール袋を取り出す。溜息とも歓喜ともつかない独り言が妻の唇から漏れる。「わぁ・・・綺麗だなぃ・・・」 そこには、ZENさんの仕掛けがあった。 北海道から封筒が届いた。まだ時期早い岩魚遊びから帰って来ると、玄関に届け物がある。「何だぁ?」様々な会社名が書かれた黒地の包装紙には、見覚えのある送り主。「おっ、来た!お〜い、Peso、来たどぉ〜!」 私はもどかしく封を切り、入っていたビニール袋を取り出す。声も出ず、それを見入る私の肩越しに妻が呟く。「わぁ・・・かっこいい・・・」 そこには波平さんの仕掛けがあった。 ひょんな事からZENさんと波平さんが、仕掛けを送ってくれる話になったんです。掲示板やメールでの話なんですよ。他愛の無い冗談や、時には真面目な釣りの話に花が咲いていると、「ZENの投げ釣りロード」を読み始めてから、投げ釣りに興味を持った私にZENさんが手を差し延べてくれたんです。 華麗にして繊細。ZENさんの仕掛けは綺麗ですよ。ビーズ、エッグボール、フェザーリング。宝石箱を開けたような気持ちになるんです。仕掛けを手に取れば、「投げ釣りロード」の写真では味わえない感動があるんですよ。この仕掛けのあちらこちらに、ZENさんの研究と情熱が染み込んでいる・・・熱いものを感じてしまうんです。「フェザーリングって毛鉤に似てるなぁ。ZENさん、自作したいって言ってたなぁ。これならオラァにも作れるか知んねぇなぁ。作ってみっかやぁ。」マテリアルを掻き回していると・・・「爺も送ったぞ。」・・うっひょ〜、楽しみ!・・ 洗練された燻銀。機能美とでも言うんでしょうか。その黒光りした仕掛けは、キュンとした緊張感を漂わせているんです。でも、その緊張感のどこかに温かみを感じてしまう・・・力強く精悍な仕掛けは、黙して波平さんの心情を語っているようです。「まいったなぃ。オラァの毛鉤や即席フェザーリングなんて恥ずかしくって送れねぇでや。」 其々の地で、様々な想いを込めた仕掛けなんですね。手塩に掛け、大事に作った物というのは、手に取れば解るものですよ。仕掛けの端から端までに作り手の経験と考えがギュッと詰まっているような気がして仕方がないんですよ。投げ釣りの経験のない私に、そんな仕掛けを送っていただいたんです。有難いことですね。せめて、送らせていただいた即席フェザーリングがお役に立てば、と思っているんですが・・・ 「こんちは〜、釣ってますか〜」 また、愛すべき釣り人と出会えました。 ありがとう・・・
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