柚子湯

「ほうら、たけぇ、ゆずタコがオイの腹ぁ食っちまうぞぉ。」
「きゃきゃきゃ、とうちゃん、くすぐってぇやぁ・・・きゃきゃきゃ。」
「肩まで暖ったまんねぇと、ゆずタコに食われちまうぞぉ。」
「きゃはははは。」
私が子供の頃の冬至、親父はきまって柚子を手拭いに包み、「ゆずタコ」を作って遊んでくれたんです。
朽ちかけた湯船の縁にしがみついて、親父の「ゆずタコ攻撃」を楽しんだものですよ・・・

「アンタァ、風呂できたよぉ。」
「おう、入るかやぁ・・・お?そうかぁ、今日は柚子湯だなぃ。」
いいもんですねぇ。ユニットバスとはいえ、柚子の香りが私の体を優しく包んでくれますよ。
あぁ・・・気持ちいいなぁ・・・タオルでゆずタコでも作っちゃうかやぁ・・・ははは・・・
・・・・・・
「ただいまぁ・・・親父、風呂かや?」
あらら、息子が仕事から帰ってきましたよ。
「親父ぃ、たま子ぉ、風呂入れるでぇ、今日は柚子だず?」
「おう、入れろやぁ。オイも入ぇるかぁ?」
「ばか言ってんじゃねぇわ。たま子を入れるだよぉ。」
ははは、なるほどね。この狭い湯船に息子とは入れませんね。
・・・・・・
息子はパンツ姿でたま子を洗っていますね。私は湯船から足と顔を出して柚子を楽しんでいるんです。
あぁ、何だかウトウトしてきちゃいましたよ。幸せな気分ですねぇ・・・
「なぁ、親父ぃ。ゆず爆弾って憶えてっか?」
・・ん?ゆず爆弾?・・
「オラがガキん頃なぁ、親父が柚子をタオルで包んでオラァのチンチンいじったでや。」
・・え?タオルで包んでチンチン???・・
「まぁず、くすぐってくってなぁ、まいったでぇ。」
「そうかやぁ、憶えてねぇなぁ。」
「あに言ってるだ。爺ちゃんに教わった遊びだって言ってただねぇか。まだボケんのは早ぇどぉ・・・あっはっは。」
そうでした。私も親父と同じように息子と遊んでいたんですね・・・でもね、親父の「ゆずタコ」より、私の「ゆず爆弾」の方が威力はある筈ですよ・・・何てったってチンチン攻撃ですからね・・・あははは。

「アンタァ、まだ入ってるだぁ?」
「おう、もうちっとなぁ。」
「アタシも入るかやぁ。」
「おう、母ちゃん、入れやぁ。オラァたま子と上がるでなぁ。」
・・は?何ですと?・・
「まぁ、親父ぃ、母ちゃんと仲良く入れやぁ・・・ははは。」
・・ち、ちょっと待て、オラァも上がるでぇ・・

ホカホカは柚子湯上がり・・・カボチャを肴に、お湯割が旨いですねぇ・・・