ジ様のトマト
「おばちゃん、大丈夫かや?」
「おやまぁ、たけぇ、あんしただぁ?」
「あんしたって・・・おばちゃん、入院したってから見舞いに来たんだでや。」
「あ・・・そうだねぇ・・・」
「・・・おばちゃん、この暑さにやられたんかやぁ・・・」
「・・・そうかも知んねぇなぁ・・・」

「たけぇ、最近オラホの畑、覗いたかや?」
「うん、毎日散歩の途中でな。」
「そうかぁ・・・どうだや?」
「どうって・・・シゲちゃん、綺麗にしてるでぇ。」
「ふぅん・・・やっぱりシゲに貸して良かっただかなぁ。」
「シゲちゃんなら大丈夫だでや。畑ぇ上手だでなぁ。」
「そうさなぁ・・・」

「たけは今、あに作ってるだ?」
「農場じゃ、キャベツと白菜と・・・」
「違うわぃ。オイの畑であに作ってるだ。」
「あ・・・ナスとトマトとキュウリとネギとモロコシと・・・」
「ははは、オイは欲張りだなぃ。」
「へへへ、だって、いろいろ作ると面白れぇだんかぁ。」
「・・・そうかも知んねぇなぁ・・・」

「・・・たけぇ・・・ジ様のトマトとキュウリ・・・憶えてるかやぁ?」
「うん、憶えてるで。おじちゃんのトマト、美味かったでなぁ。」
「そうさぁ・・・キュウリなん、10月まで採れたでなぁ。」
「そうだなぃ。おじちゃん、トマトとキュウリ・・・上手だったでなぁ。」

「・・・たけ、オイは来年、あのトマトとキュウリ作れや。」
「え??あに言ってるだ?おばちゃん・・・」
「・・・ジ様のトマトとキュウリが食いたくなっただよ・・・」
「・・・だけど・・・オラじゃ・・・シゲちゃんに作ってもらえば・・・」
「シゲはダメだわぃ・・・あいつぁダメだわぃ・・・」
「・・・・・」
「ま、いいわぃ。たけの畑、空いたら来いやな。教えてやるでな。」
「・・・うん・・・オラでいいだか?・・・おばちゃん。」
「いいだ、いいだ。オイが作れや。ほいで、食わしてくれやな。」
「・・・うん・・・じゃ、教えてもらうなぃ。」

「たけ、収穫終ったら直ぐに来いやな。秋に変なもん蒔くじゃねぇど。」
「うん。」
「ジ様のトマト・・・食えたら、また長生きできるかやぁ・・・」
「・・・・・」