一月の風景
明けまして おめでとぉ 今年も宜しくなぃ
毎年のこったけどな、山ぁ寝ちまってるみてぇだなぃ。元気なのはスキー場ぐれぇだねぇかやぁ。別荘のお客さんもチラホラ来てるみてぇだなぃ。

この頃、里ぁ忙しいでぇ。オラァ2日から自治会の新年会だわぃ。近所の爺さま相手に、朝っから飲むんだわ。新年早々しわくちゃの顔が公民館に並ぶんだでぇ。ヘタな化け物屋敷より不気味だわぃ。オラァ四十過ぎたってガキ扱いだもんな。笑っちまうわなぁ。でもな、いろんな話が聞けるんだわ。昔の話ってのも、よく聞きゃあ面白れぇもんだで。林組、漁協、猟友、いろんな爺さまがいるかんなぁ、話しゃあ尽きねぇわな。
「袈裟ちゃん、鹿ぁどうだやぁ?」
「いやぁ、ダメだなぃ。年々少なくなっちゃぁいるわなぃ。」
「たまにゃぁオラッチにも持ってこいやぁ。」
「おぅ、良ちゃん鹿好きだかんなぁ、持ってきてぇだけどなぁ。なかなかぁ・・。」
「そういやぁ今年も15日の放流でいいだ?」
「そうさなぁ、出合いでいいんだねぇ。」
こんな話から始まるんだわ。午前中は何ともねえ話なんだけどな、午後になりゃぁ酒もまわってきてな、爺さま達の同窓会みたいになっちまうだよ。そうなりゃぁ、オラァは御燗番だでな。
「オイん家の忠志ゃ、死んだ爺さまに良く似てきたなぁ。」
「そうかやぁ。オラァに似てるって言われるでぇ。」
「アッハッハァ、オイが爺さまに似てるっつう事だでや。お〜い、タケ。酒ゃもう無ぇだかぁ?」
「おぅ、今つけてんでぇ。」

子供達も忙しいんだで。「ドンド焼き」ってのがあってな、正月が明けると子供達がしめ縄や去年のダルマなんかを集めるんだわ。一軒一軒回って集めるんだで。それをな、近所の氏神様でお焚き上げするんだわ。そん時にな、お年玉って訳だ。子供にとっちゃぁチョットした楽しみだわなぁ。

若けぇもんも大変だわ。14日の昼から15日の昼まで祭りなんだわ。旧道を300m位通行止めにしてな、道の両側には屋台がズラーっと並ぶんだわ。そん時にな、青年団が花火を上げるだよ。年末から寄付やら消防やら、仕事は山積だわぃ。そいでもなぁ、冬の花火ってのも風情があるでぇ。雪ん降る中に花火が上がるだよ。綺麗だでぇ。
「OO商店、OO工業所、OO建設、OO電設。スターマイン。」ドーン!ドパパパパーン!ってな。 昔ゃ成人式と重なってたからなぁ。若けぇもんは同窓会みたいになっちまうだわ。今年ゃ平日だで、どうなんかなぁ。

一月は、そこら中で同窓会気分だわなぁ。