突然の出会い
さ〜て、今日も一日頑張って仕事だわなぃ。
もう半年も通ってる現場だわぃ。峠の頂上なんだわ。通いなれた峠道をルンルン気分で走ってくで。仕事も順調に進んでるし、気分いいわなぃ。
ん?ありゃ?タバコが無ぇでや。いっけねぇ、買い置き持ってくんの忘れちまったわぃ。ん〜と、どっかで売ってたかやぁ・・・あ、、途中のドライブインに自販機があったわなぁ。あそこでいいやなぃ。

お、ここだで。えっと、セブンスターは・・・っと・・・あったね。タバコを取って、お釣りを取って・・・チャリン・・・ありゃ、五百円玉が自販機の下に転がっちまったでや。まいったなぃ。取れるかやぁ。
顔を地面に擦り付けてみれば、おっ、見えるなぃ。何とか届きそうだわ。
自販機の下に手ぇ突っ込んで、五百円玉を探す・・・不思議なもんだなぃ、無意識に目ぇ閉じてるでなぁ。
中指の先に、コインの感覚・・・お、もうチョット・・・あっ、惜しい・・・ヨシ、掴まえた・・・そうそう、掌に収まったでぇ・・・
ははは、やったね。五百円玉回収作戦、大成功!って、目ぇ開けただわな。
開けた目に飛び込んできたのは、灰色っぽい毛のかたまりに薄いピンクの・・・ん?・・・顔?・・・
オイラ、固まっちまったでぇ。
そうさね。5m位かやぁ・・・いや、もうちっと遠くだったかやぁ、猿がこっち見てるでや。
オイラは顔を地面に擦り付けて尻を高く上げて・・・何だか、オス猿を誘ってるメス猿みてぇだでやぁ・・・
やば!襲われる!って、オラァそんな趣味ぃ無ぇどぉ!

落ち着け、たけぱん。猿に遭っちまったのは初めてだねぇど。今までは何とか襲われねぇで済んだでや・・・落ち着けよ〜・・・ったって、こんな格好じゃぁなぁ・・・
目は離しちゃいけねぇど。だけど、猿の目ぇ見ちゃいけねぇど。ゆっくりな、刺激しねぇようにな・・・
よ〜し、何とかヤンキー座りにはなったなぁ。だけど、下手には動けねぇどな。今は威嚇されてねぇけどな、いつ歯茎出して興奮するかわかんねぇもんなぃ・・・う〜、我慢比べみてぇだねぇか。

どん位の時間が過ぎたんだやぁ。長かったでぇ・・・。
猿はなぁ、オイラのことぉ気にしながらだんだんと離れてったわ。森ん中に入ってな、やっと見えなくなっただよ・・・ふ〜〜〜っ、助かったぁ・・・
気が付きゃぁ、朝から脂汗で体中がベトベトだわぃ。
う〜、風呂入りてぇ〜〜〜・・・