あぶれもん

「ヒデ、行き場がねぇってのはこいつかぁ?」
「おう、たけちゃん、何とかなんねぇかやぁ・・・一度は貰われたんだけどな、返されちまっただわぃ」
「返されちまったって・・・えらい無責任だわなぁ」
「うん、だからさぁ、たけちゃん、何とかなんねぇかやぁ・・・」
「・・・まいったなぁ・・・」

生後二ヶ月ほどのゴールデンリトリバー。以前は人気者でしてね、引き取り手はすぐに見つかったものです。 最近は小型犬が流行りなのでしょうか、なかなか貰い手が見つかりませんよ。

「だからさぁ、たけちゃんが預かってくれればさぁ・・・」
「あに言ってるだぁヒデ、オラん家は猫屋敷だでぇ。だめだわぁ。」
「前は3頭飼ってただねぇか。」
「いや、あいつらは迷い込んできた猟犬や捨てられた雑種や・・行き場んねぇやつらだかんなぁ。仕方なく引き取っただよ。」
「こいつだって行き場がねぇんだわ。なぁ、たけちゃん、頼むわぁ。」
「う〜ん・・・まいったなぁ・・・」

「あんしただぁ?あ、ヒデちゃん来てたの?」
あ、まずい、カミサンに見つかっちゃいました。カミサン、無類の動物好きなんですよ。こんな状況では二つ返事で預かってしまいそう・・・
「おぉ、pesoちゃん、いただか。実はこの犬がなぁ・・・」
・・・おい、こら、やめろ、見せるなぁ・・・
「わぁ、いい犬だねぇ。こんなんいい犬、返されちまっただかぃ。可哀想になぁ・・・」
・・・まずい・・・まずい展開ですよ・・・いやな予感が・・・
「だからさぁ、たけちゃんに預かってもらうかなって・・・」
・・・おい、ヒデ、やめろって。オラァまだ返事してねぇどぉ・・・
「いいんだねぇ?ウチで預かるかやぁ・・・ねぇ、アンタァ。」

・・・いやな予感が・・・当たりました・・・

「おい、大丈夫かぁ?簡単に引き受けちまって・・・」
「大丈夫さぁ。なんとかならずぅ・・・あははは。」

カミサンはのん気に構えてますがねぇ・・・朝の散歩は私の日課になりそうですよ。宵っ張りの私にはちょいと辛いですかね・・・ははは、まぁ私も嫌いじゃないんで、いい家族になれるかな。
え?名前ですか?
あぶれもんの名前はね、「たま子」です。例によって息子がつけたんですよ・・・ははは。