師匠とその弟子
師匠は弟子を、弟子は師匠を・・・
美しき師弟愛の物語・・・

師匠クドチャンの釣り姿・・・直立不動の貴公子・・・
オイラの釣り姿・・・腰を屈めた泥棒ネコ・・・
「タケちゃん、先に釣り上がれやなぃ。」
「え?また?・・・いいだかぃ?」
「いいさぁ。タケちゃんが歩いた後なら釣れるでなぁ。」
「・・・・・」
さて、喜ぶべきか・・・はたまた悲しむべきか・・・

師匠クドチャンのエサ・・・自家製ミミズ・・・
オイラのエサ・・・ボロキレ毛鉤・・・
「今年のミミズは臭くて良いでぇ。」
「あ、ホントだ。臭っせぇなぃ。」
「タケちゃんの毛鉤に臭い染み込ませてみっかやぁ。」
「うん・・・釣れるかも・・・」
さて、喜ぶべきか・・・はたまた悲しむべきか・・・

師匠クドチャンの竿・・・天下の宝刀、琥珀・・・
オイラの竿・・・たけぱん3段スペシャル・・・
「タケちゃんの作った竿ぉ、見してみぃ。」
「おう、こんなんだわぃ。」
「ふ〜ん・・・なるほどなぁ・・・良く出来てるでやぁ。」
「クドチャンの竿ぉ、ちょっと貸してくんねぇ?」
「いいよぉ。」
「・・・すげぇ・・・いい調子だわ・・・」
さて、喜ぶべきか・・・はたまた悲しむべきか・・・

師匠クドチャンの仕掛け・・・提灯・・・
オイラの仕掛け・・・提灯、テンカラ、etc.・・・
「お?タケちゃん、あんしただぁ?」
「いや、ちょっと、仕掛けが枝に・・・」
「ははは、だからこの沢ぁ提灯だって言ったず?」
「・・・はは・・・そうだなぃ・・・」
さて・・・いや、これは悲しむべき・・・

「タケちゃん、釣ったかやぁ?」
「おう、泣き尺五本だわぃ。」
「ほ〜、いいだねぇかぁ。」
「クドチャンはぁ?」
「はは、尺ぅ二本上がったでぇ。他は帰しちまったわぃ。」
「・・・・・」
・・・・・完敗・・・・・

「クドチャン、ちらり呑んでかねぇ?」
「おう、いいねぇ。」
・・・・・・・・・・
「う〜〜、タケちゃん、もう呑めねぇやぁ・・・げふっ・・・」
「ははは、焼酎一升やそこらであにやってんだぁ?」
「・・・・・」
がっはっは〜・・・圧勝・・・

 

師匠とその弟子・・・釣り行脚は果てしなく続く・・・