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有明の夜〜痛恨〜
2003/10/05

海は静かに遥かな都会の灯りを映し出していますね。
大きな観覧車は親子連れの温もりを乗せているのでしょうか、恋人たちの夢を乗せているのでしょうか、ゆったりと海辺を見下ろしているようですね。
有明には涼しい時間がゆっくりと流れていますよ。
おや?渓を歩く時に感じる風が吹いてきましたね。風は心地よく私を包み込んでくれますよ。渓を独り歩く時、磯で小さなウキを見つめる時、スーゥッとこんな風が吹く時があるんです。
軽く握った竿尻の感覚がなくなって、穂先が遠くに感じはじめるんです。
釣りたいと云う欲さえも消える瞬間なんですよ。こんな風が吹く日は、いい釣りになるんですよ。

「たけちゃん、釣れたかやぁ?」
おやおや、太公ちゃんの信州弁が近づいてきましたよ。
「まだだよぉ。でも楽しいよぉ。」
「タカオちゃんが釣ったぞ。3匹も釣ったぞ。」
「へぇ、すごいなぁ。スズキ?」
「そうだよぉ・・たけちゃんも負けんなよぉ・・ふっふっふっ・・」
ありゃりゃ、煽られてますねぇ。
今回、ヘチ釣り講師となってくれた太公ちゃんは皆の面倒をみてくれていますね。ご苦労に答えるべく、なんとか釣りたいのですが・・・こればかりはお魚さん次第ですかねぇ。
ま、風を楽しみながらのんびりと釣りましょうかね。

おや?zenさんがいないなぁ。食事かなぁ・・・投げでも始める段取りでもしてるのですかねぇ・・・
・・・コツン・・・
ん?来たかな?ゆっくり聞いてみましょうかね。沖へゆっくりと・・・
ギューン!!・・・うぁ、何だ?
キュッ、キュキュッ!!・・・掛かった。道糸が鳴いてますよ。
ギューン!!ググッ!グググッ!!!・・・やばっ、のされそう。穂先が海面に吸い込まれるような強い引きですよ。道糸を出さないとマズイかも。
太鼓リールを持つ手を少しだけ緩めて・・・
ギューン!!バチン!・・・痛てっ!
タイミング悪く引かれたリールが親指にぶつかりました。思わず手を離してしまったリールはスルスルと道糸を出して・・・いない・・・???・・・あれ?
ありゃ〜、何だこりゃ〜!?!
道糸がリールから外れ、軸に絡まってますよ。これでは道糸を巻くことも送り出すこともできませんね。
こ、これが恐怖のイトガミ?どうしよう・・・
そんな間にも、魚はグイグイと竿を撓らせていますよ。
くそっ、こうなったらフライの要領で・・・左手で道糸を引いて・・・よし、引けるぞ・・・右手で道糸と竿を握って・・・シュルッ・・・熱ちっ・・・
だめだぁ、せっかく引いた道糸・・・細すぎて竿と一緒に握っていられませんよ・・・イトガミを直さなきゃだめですね。
「たけさん、道糸を持ってようか?」
ん?あらら〜、再び登場、天使のタカオちゃ〜ん。救世主タカオちゃ〜ん。
「お、頼むわ。」
2人で頑張るのですがねぇ・・・絡まった糸は知恵の輪状態ですよ。この状況ではとても直せそうにありません。
焦りと、魚の強い引きと、目の前の知恵の輪・・・あ〜、パニックだ〜ぁ・・・
「タカオちゃん、だめだ。太公ちゃんを呼んできて。」
「太公ちゃ〜〜ん!!」
タカオちゃんが太公ちゃんを呼びに行く間もなく、私は大声を出してしまいましたよ・・・お〜、恥ず〜・・・

「どうした?」
「あ、太公ちゃん、やっちまったよ。」
「たけちゃん、竿立てるな。ちょっと下がって。」
あ、そうでした。道場の記事で読んでいたのに・・・思い出せなかった・・・
「仕掛け操作のTIPS」〜「竿を立てるな?」・・・とほほ・・・
「よし!」
太公ちゃん、ヘチにしゃがみ込むと暴れる道糸をむんずっと掴みましたよ。
ま・・・まさか・・・手で上げるの?スゴ・・・漁師みたい・・・
太公ちゃん、がんばれ・・・格闘する太公ちゃんの背中に祈るような気持ちを・・・って、私のミスでこんな事になっちゃったんでした・・・すんません・・・
「あっ・・・」
太公ちゃんの声と共に、道糸はフッとふけましたね。
「やられた・・・」
振り返る太公ちゃんが手にしたハリスの先に、鉤はありませんでした。

「たけちゃん、残念だったな。」
・・いや、オイラがいけないんだよ・・
「いきなり引いたもんねぇ。」
・・タカオちゃん、せっかく手伝ってもらったのに・・
「どうしたの?」
・・あ、zenさん。やっちゃったよ。オイラ、アホです・・
「たけちゃん、仕掛けを作り直して仕切り直しだな。」
「うん・・・」

落ち着きを取り戻した有明を眺めながら仕掛けを作り直す指先に・・・

・・・あ、いつもの風だ・・・

つづく