愛すべき釣り人達〜ルアーマン・後編〜
2003/05/28

ふ〜、終わった〜。
昼食抜きで頑張った甲斐がありましたね。まだ1時前ですよ。さて、本日のメインデイッシュ「釣り第二部」ですよ。さぁ、今朝の埠頭へ行ってみましょうよ。

うぁ〜、スゴイ。埠頭は人であふれ返っていますね。まるで公園のようですよ。
家族連れが多いんですね。
お父さんに仕掛けを作ってもらう男の子・・ん?サビキですねぇ・・
お母さんとお弁当を広げる女の子・・うぁおぅ!美味しそうだなぁ・・
ビール片手にバーベキュー大会の若者達・・ははは、楽しそうだなぁ・・
肩を並べて竿先を見つめるカップル・・よっ!いい雰囲気ですねぇ・・
そんな中を、変なオジサンが独りでトボトボ歩いてますよ・・まさか、怪しい人ですか?・・いやいや、私!私です!たけぱんですよぉ。

ははは、ちょっと恥かしいですね。ドン臭い作業服に安全靴・・車で履きかえるのを忘れてました・・ヘルメットの跡がクッキリと分る、流行の?ヘアースタイル。右肩にはボロボロの竿ケース、左肩には道具入れ兼クーラーのバッカン。いやぁ、どう見てもこの埠頭の雰囲気には不釣合いですねぇ。エンジェルフィッシュの水槽にドジョウが飛び込んでしまったようですよ。
「まいったなぁ、こんなんじゃ釣り場も無ぇかも知んねぇやなぁ」
それでもね、今朝のルアーマン、また来て下さいって言ってましたよね。あの場所、行ってみましょうよ。

あ、居ましたよ。ほら、あそこ。黒いキャップにカーキー色のツナギ。長靴も今朝と同じですね。埠頭の角に陣取っていますよ。
「こんちは〜、お世話様です」
「ん?おっ、早かったですねぇ。仕事、終わりましたか?」・・へへへ、昼食抜きです・・
「お待ちしてましたよ。そろそろ良い感じになりそうなんですよ」
・・あ、午後がいいってヤツね・・
「よかったら、ここで釣ってください。少し空けますよ」・・え?いいの?・・
ルアーマンさん、埠頭の角の右側を空けてくれましたよ。
「すいません、何だか他の人達に悪いっすね」
「ははは、大丈夫ですよ。この辺にはカリカリした釣り人はいませんよ」
・・フム、確かに和気藹々な雰囲気だなぁ・・
「頑張って釣ってくださいね」・・はは、釣れますかねぇ・・
この混雑の中、投げ釣りはマズイですよねぇ。ましてや私は今日が初投げですからね。今朝のように飛んで行く仕掛けを探すようでは・・きっと他の人に迷惑でしょう。いつものウキ釣りにしましょうよ。

さて、まずは底を取りましょうかね。5ヒロから始めてみましょうか。
ヒュ!ポチョン・・ブクブクブク・・はは、まだまだ深いようですね。
ヒュ!ポチョン・・ブクブク・・もう少しですね。
ヒュ!ポチョン・・ブク・・うん、この位ですかね。底は8ヒロで良さそうですよ。仕掛け・・どうしましょう・・この場所でコマセを柄杓で撒くのもねぇ。何だか変ですよね。う〜ん、籠にしちゃいましょうか。チョイ投げの籠仕掛けならね、何とかなりそうですよ。シブさん伝授の籠、「馴染んでボン!」があるんですよ。シブさん自作なんですがね、いい籠ですよ。仕掛けが馴染むと籠が開くんですよ。シブさんの研究会では「楽ちん同調籠」とも呼ばれてるとか・・・ははは、これは改めてご紹介しましょうかね。「馴染んでボン!」をセットして、底からだんだんと上げてみましょうかね。あれれ?何狙いの釣りなのか分らなくなっちゃいましたねぇ。まっ、こんなもんかな?

・・・う〜ん、来ませんねぇ。もう5ヒロ半まで上がってしまいましたよ・・・

「今、ウキ下はどの位ですか?」・・あ、ルアーマンさん・・
「えっと、5ヒロですね。そろそろ中層に上げてみようと思ってるんですが」
「なるほど、思い切って上層を狙ってみませんか?」・・上層?・・
「そろそろ回ってきますよ。出来るだけ遠くに投げれば面白いと思いますよ」
・・遠くねぇ・・よし、物は試しですね。ウキは「遠投大」に代えてウキ下は3ヒロ・・・
とりゃ!ヒュ〜〜、ポチャ!
はは、馴染むのも早いですね。こりゃ、忙しいですよ・・・ビュン!!!え?何だ?
今まで沈黙を決め込んでいたルアーマンさん、いきなり投げましたね。シュルシュルと気持ちの良い音がミノーを泳がせていますね。上層と云うより表層を泳がせているようですよ・・・グンッ!!おっ!傍らで見ている私にも分るアタリ・・・シュルシュルシュル・・・あらら、何か釣れましたよ。
「やっぱりな・・サワラか来てますよ」・・あらら、40cm程のサワラ・・
「上層で食って来ま・・ほら、来た!」・・え?何?・・あれ?ウキは何処?・・

ルアーマンさんのサワラに見惚れながら、オープンにしておいたリールからは道糸が引き出されていますよ。ありゃ〜、指で押さえておけよ〜〜!!慌ててアワセれば、クンッ!とノリましたね・・へへへ、やったね・・上げてみれば40cm程のサワラ。は〜ぁ、サワラなんて初めて釣りましたよ。ルアーマンさん、その後も好調にサワラ・フィーバーですよ。釣っては傍らの家族連れに手渡していますね。すごいですねぇ。
え?私?・・・ははは、最初で最後のサワラでしたよ。

「今日はどうも有難う御座いました」
「いえ、とんでもない。楽しめましたか?」・・はい、充分に・・
「もう少し空いていると良いんですがね。また遊びに来てくださいね」・・はい!・・
「じゃ、また。楽しかったですよ」・・こちらこそ・・

そろそろ夕暮れ。帰りの時間を気にしながらボロボロの竿ケースとちょっとだけ重くなったバッカンを担ぐ私の背中で、ビュンッ!!と小気味の良い風音を残し、ミノーは水平線へと消えていったようですね。