新種発見!!
2003/02/18

山人が初めて磯に渡り、初めての釣果?を得て以来、彼はハマッてしまったんです。何かにつけては中さんに電話して、「中さ〜ん、今度はいつ行くだ〜?」「中さ〜ん、今週の土日は暇〜?」中さんも良く付き合ってくれますよね。「しょうがねぇなぁ、船長に電話してみるわぁ。」なんて言いながらも折り返しの電話では、「たけちゃん、今週は○○根だわぃ。あすこは良いで〜。金曜までに仕事ぉ終わらしとけや。」ですよ。結局、中さんだって行きたいんですよね。そりゃそうですよ、なんてったってグレちゃんに会えるんですから。

「中さ〜ん、今週はどうするだぁ?」
・・いつの間にか敬語を使わないようになっていました。
「今週はダメだでぇ。オラァ畑もあるしなぁ。来週にしれや」
・・一度は断られるの、もう慣れました。
「あ〜、冷てぇな〜。折角、仕事ぉ追い込んどいたのになぁ。誠だって、もう行く気んなってるでぇ」・・エヘヘ、これが、いつもの殺し文句。
「そうかぁ、しょうがねぇなぁ」・・よしよし、今週も連れてってもらえるぞ〜。
「ほいじゃぁ電話しといてやっから、2人で行ってこいやぁ」
・・え?いつもとは様子がちがいますね。
「今週はシブが行く筈だわ。知ってるだず?シブちゃん。段取りしといてやるでな、行って来い、行って来い」・・マジっすか?

シブさんはね、私が初めて沖磯に渡った時、ご一緒させていただいた方なんです。憶えてます?荒波の洗礼を受け、濡れ鼠になった私を心配してくれた方ですよ。シブさんの釣りは軽妙、美麗、端麗、樽生?・・・いやいや、失礼・・・実に小気味の良い釣りをされます。手返しの頃合とでも言うんでしょうかね。「返す」と「流す」を気持ち良く繰り返されるんですよ。まるで水中の様子を掌に乗せて見ているような釣りなんです。
「たけさん、釣りはね、工夫すればするほど上達しますよ。私達の工夫の殆どは海や魚達に否定されますがね。ハハハ、たけさんも、どんどん否定されましょうよ」
「はぁ、なんとなく解るんですがねぇ。私はシブさんのように回数を稼げないですからねぇ」
「たけさん、想像力ですよ。水面下は誰だって見えないんですよ。潮の流れや層を想像して、同調を考えるんですよ。サシエとマキエが同調さえすれば、なんとかなるものですよ」
「同調ねぇ・・・」
シブさんは、同調に失敗したと感じるや否や、仕掛けを打ち直すそうです。うまく同調していると感じれば、出来る限り流し続けるそうです。もっとも、この「感じる」ってのもシブさんの想像なんですがね。きっとその想像力が素晴らしいんでしょうね。

さて、シブさんに感心ばかりしていないで私達も釣りましょう。今日は中さんにお裾分けしたいなぁ。
1投目・・ギュ〜ン!いきなりウキが沈みましたよ。ウハハハ〜、良いメジナちゃん。30cm位ですね。今日は幸先が良いですよ。バンバンいきましょう!立て続けに30cm前後を5枚キープ。ムフフ、最近、木っ端とイスズミはリリースしてるんです。成長したでしょう?いや〜、今日は2桁勝利かぁ?なんて有頂天になっていると・・・
「タモー!たけちゃん、タモー!」・・誠が騒ぎ始めましたね。
「おぅっ?どうしたぁ?イスズミの記録更新かやぁ?」・・絶好調の私は余裕ですよ。
「バカ言ってるだねぇ!今、浮いて来た時、赤かったんだわ。鯛かも知んねぇど!」・・何っ!?鯛?!ウッヒャ〜、今夜は尾頭付きか〜?玉網を下ろして目を凝らして見れば、確かに赤い魚体が右へ左へ逃げ回っていますね。
「凄ぇ!まこちゃん、慌てんなぁ!」・・私も興奮してきましたよ。誠はここからが上手いんです。スッと浮かして、たっぷりと空気を飲ませるんですね。
「いいぞぉ、まこちゃん。だけど、何か変だでなぁ」
「うん、鯛じゃねぇなぁ」・・確かに鯛だったら体高がある筈。この魚、長細いんですよ。
「おっしゃ。」玉網に入った長細い鯛?を上げてみれば・・・
「なんじゃ、こりゃ〜!緋鯉?」・・誠と二人のハーモニー・・ゲロ・・これで二度目・・

「たけちゃん、海に緋鯉がいたでや」・・んなバカな?・・確かにそれは緋鯉ですよ。赤い大きな鱗にヒゲもありますよ。40cm位でしょうか、鯉としては小振りな方ですね。
「まこちゃん、何か変だで。鯉だったら背鰭ぇ一枚だでなぁ」
「うん、この鯉、二枚ある。奇形かやぁ?鰓も変な格好だなぃ。気持ちわる〜」
喧喧諤諤、俄か海洋生物学者の二人は新種発見!とばかりに釣りを忘れ、「海の緋鯉」を観察しています。
「どうしました?そろそろお昼にしませんか?」・・あっ、シブさん。
「シブさん、これ、鯉じゃないっすよねぇ」
「え?鯉・・ですか?」・・そりゃあ、驚くわね。まあ、見て下さいな。
「あっはっはっは〜!こりゃイイ!鯉ですか〜〜!」・・ありゃ、そんなに笑う事?
「海に鯉なんて、アッハッハ〜!これはね、オキナヒメジですよ。ハハハ」
翁姫痔?はぁ?
メジナの外道として、釣れるそうですね。せいいちさんの「男女群島!」にもありましたね(せいいちさん、ゴメン!)

今回の段取りを取ってくれた中さんに、釣果報告をしましょうね。
「おぅ?マコト〜、えらく綺麗な外道ぉ釣ってきたなぃ」・・中さん、そんな・・
誠の顔はオキナヒメジのように真っ赤っ赤・・・ですね・・・