天空楽
2002/12/16

さ〜て、今日も朝マヅメから狙っていきましょうか。先週は「おつり」に悩まされちゃいましたからね。今週は「おつり」の出ない仕掛けにしましょうね。おつりを出さない為には、ラインを軽くしましょう。フライラインでは重すぎましたね。普通のナイロンでは軽すぎて毛鉤が飛んでくれませんでしたよ。困っちゃいますねぇ。でも、丁度いい重さのラインは、あるはずですよ。釣具屋さんには迷ってしまう程、多くの種類のラインがありますもんね。

数年前、毛鉤関係の本を読み漁った時期があったんですよ。テンカラ、フライ、フレッシュウォーター、ソルトウォーター・・・端から読んでました。道場で紹介された「フィッシングノット辞典」もその頃に出会った本の中の一冊なんです。桑原玄辰、奥山文弥、澤田賢一郎、高橋啓司、丸橋英三、白石勝彦、深瀬信夫、瀬端雄三・・・ハハハ、我が家に本棚が一つ増えて、カミサンに呆れられたもんですよ。その頃、本の中で出合った人に石垣尚男さんがいるんです。医学博士でしてね、スポーツ視覚学と言うのが専門なんだそうです。テンカラ一筋の人なんですが、釣りを科学的にとらえるんですね。とても分かり易いですよ。科学的と言えば、加藤健司という人が「アマゴは色盲か否か」なんて書いてましたねぇ。それによると、ある程度の明るさがあれば、魚は色を判別してるんだそうです。まぁ、色んな事を研究する人がいるもんですね。

石垣さんの話に戻りましょうか。石垣さんのお勧めラインはね、フロロカーボンなんですよ。丁度いい重さがあるんだそうです。それによると、フロロはナイロンの1.7倍の重さがあるんだそうです。フロロの4号とナイロンの7号が同じ重さだとか。同じ重さなら細い方が有利ですね。風の抵抗を受けにくいですからね。拠り糸テーパーラインの場合、ナイロン0.8号を7本弱く拠るとフロロ4号と同じ重さになるそうです。何れにせよ、フロロが細くて重さを持つラインと云う事になるんでしょうね。

さて、フロロがナイロンより重くテーパーより軽いことは分かったんですが、果たして毛鉤を飛ばしてくれるかどうか、これが一番の問題ですよね。またまた石垣さんの登場です。「私が使っているのはT社のトヨフロン・ソフト3〜5号である。」なんて書いてありますよ。それ行け〜!30分後、私の手にはトヨフロン・ソフト4号がありましたよ。早速、休耕田で練習しましょう。

ヒュッ、ヘナヘナ。あれ?飛びませんねぇ。もう一度、ヒュッ、痛てっ!今度は自分の背中を釣っちゃいましたよ。おかしいなぁ。う〜ん、もう一度、石垣さんの言葉を思い出しましょうか。ブツブツ・・ブツブツ・・ 人が見てたら何と思うでしょうね。休耕田の真ん中で、いいオヤジが釣竿を担いで独りでブツブツ言ってます。まあウチの近所では・・といっても隣まで50m程あるんですが・・私の気狂いぶりは有名ですから、110番騒ぎにはならないでしょう。

ブツブツ・・ブツブツ・・・あっ、そうか。「ラインパワーはラインの重さXラインスピードで決まるのだ。」う〜ん、これですよ。フライの場合ゆっくり振るのは、ラインが重いからですよ。丁度いいラインパワーを出すために、ゆっくり振るんですね。だから、フライラインより軽いフロロの場合は速く振らなきゃラインパワーが生まれないんですよ。「ラインパワー=ラインの重さXラインスピード」ですよ。

なんだか分かった様な分からない様な話なんですが、とにかくやってみましょうよ。ヒュッ、スルッ。おっ、いい感じですねぇ。ヒュッ、スルルッ、フワッ。おぉ〜、着水も完璧ですよ。これなら「おつり」も出ず、軽い仕掛けで繊細な釣りが楽しめそうですね。
今では、トヨフロン・ソフト4号は私の必須アイテムになってしまったんです。これさえあれば、瀬でも落ち込みでもトロ場でも、毛鉤を食い筋に流すことができるんですよ。

それと、もう一つ。丸橋さんの「フィッシングノット辞典」に書いてあったんです。テーパーリーダーの自作。ここではフライ、特にソルトウォーターのテーパーリーダーについて書いてあるんですが、丸橋さんは、「渓流用テーパーリーダーとしても、お試しあれ!!」とも書いています。号数の違うラインを少しずつ繋いで、一本のテーパーリーダーにしちゃうんです。フライではテーパーリーダーですが、テンカラにとっては立派なテーパーラインですよ。憶えていらっしゃいますか?以前お話した、毛鉤名人の爺ちゃん。あの爺ちゃんが作っていた「馬素段付き道糸」の単糸版じゃないですか。これを読んだ時は、爺ちゃんを思い出して嬉しくなっちゃいましたよ。実際、使ってみると驚くほど良く飛びますよ。かなり細い糸でも飛ばせるんです。繋ぎ目のブラッドノットが程よい重みを作ってくれているような気もします。

さて、仕掛けも出来たことですし、ミソサザイに会いにいきましょうか。
ミソサザイに会えれば、きっと綺麗な岩魚に出会えますよ・・・