佐久方面から千曲川を下ると小諸に出ます。そのまま鹿曲川を過ぎると上田に出ます。上田に出た所で左から依田川が入ってきます。 さて、この依田川を釣り上ってみましょう。 依田川下流域はアユ専用の釣り場が多く、私達渓流屋には入り辛いですね。ましてや毛鉤なんて使用禁止ですよ。毛鉤屋さん、気を付けて下さいね。もっと上流にイイ所がありますよ。依田川を上っていくと、最初に出合うのが内村川です。上流には鹿教湯温泉(かけゆおんせん)、霊泉寺温泉(れいせんじおんせん)等の湯治場があるんですよ。湯治場に泊まりながらの遠征釣りもいいですね。 依田川にはツケバがいくつかあります。ツケバと云うのは、アユ料理を食べさせてくれたり、おとりアユが売っていたり、ヤナで落ちアユを捕ったりする小屋なんです。料理屋と釣具屋と漁場が一緒になった小屋、ですかね。知り合いのアユ屋さん達が来れば私もオジャマして夜は大宴会です。そんな夜、飛び出したのが、この話。 「まいったなゃ。出合いの淵に何かいるで。オトリごと持ってかれちまったわい」 「あに騒いでるだ?」 話は妙な方に発展します。アユ屋さん達もサクラと聞いては黙っていません。 まだ空は紫色です。サクラの淵に到着すると、石ちゃん、もう釣り始めてる。天下の宝刀、「琥珀」が眩しい。やっぱり釣りの上手な人って絵になりますね。おっと、見惚れてる場合ではありません。私も我が愛刀、磯竿スペシャルを出さねば。メジナバージョンに庭先で掘り出してきたドバミミズをセット。「さあ、サクラちゃん、朝ごはんの時間だよ」上流に回り込んで、そっと仕掛けを流します。アユ屋さん達もチラホラやって来ました。 太陽が昇り始めた頃、私のウキが音も無く消し込みました。「よっしゃあ」私は一瞬でヒーローになっていました。ツケバに戻り、品評会です。石ちゃんが1尾。私も1尾。ガングロにでかい口。「これがサクラかぁ。すげぇもんだなぃ」石ちゃんがホイル焼きを作り、昼の宴会が始まりました。 北海道や北陸では、降海型の岩魚や山女魚がいるそうです。陸封された魚達だから、海に降りてもおかしくありませんよね。その習性が、降湖型の魚を生んでいるんだそうです。ダム湖のバックウォーターで良型が出るのはそのせいかも知れませんね。 さて、アユ屋さん達とはお別れして次はもう少し上流へ行ってみましょう。いい所、沢山ありますよ〜〜。では、また。
|